2008/7/21

ゴールデン街の奇跡


梅雨が明けた東京。23時30分。
仕事を終えたボクは、新宿の外れにある居酒屋さんで友達と軽く食事をした後、
帰りの電車を目指してゴールデン街の横を抜ける遊歩道をひとりで歩いていました。
 
日頃から親切な好青年として定評のあるワタルさんがその場所を詳しく説明しますと、
下の地図にある赤い道がゴールデン街の横を抜ける遊歩道になっており、
ボクはBからAに向かってJR新宿駅東口を目指してひとり寂しく歩いていたワケです。



「うー、相変わらずアツイなぁー。コンビニで立ち読みでもしながらチョット涼もうかな」 と思い、遊歩道の途中にあるローソンへ入ろうとして道を曲がったその時、 脇道からあるひとりの女性がボクの目の前にスッと現れ、遊歩道を歩いて行きました。   ボクはその女性を見た瞬間、ローソンに入る作戦を即刻中止し、 華麗にUターンを決めて遊歩道へと戻り そのターゲットを追うようにして歩き始めました。(ストーカーかよ) だって、だって、聞いて聞いて。 あのね、すんげーキレイなおねいさんだったんですよ! 思わず「松下奈緒かな?」と思っちゃったくらいスラッとした超美人。 だからこの女性はこれから松下さんと呼ぶことにします。(勝手に) さらに幸いなことに、松下さんはボクと同じくA地点、 つまりJR新宿駅方面へ向かって歩いているではありませんか。 鼻の下を伸ばしたボクは、その後ろ姿を眺めながら 「ホントにキレイな人だなぁ。オレの前にハンカチとか落とさないかなー」 と、ワケのわからない妄想をしながら変態っぽくテクテク歩いてたんですけど、 そしたら突然、松下さんのバッグからケータイの着信音が鳴り響いたんですよ。 着信音と言ってもすぐに鳴り止んだのでおそらく電話ではなくメールだったと思います。   で、松下さんはそのケータイを取り出そうとするんですけど、 ケータイがバッグの下の方にあったらしく、すっごい慌てちゃってて、 やっと取り出せたー、よかったわー、と思ったその時……   奇跡が起きたのです。    






















まさかの必殺ハンカチ落としでボクを誘惑する松下さん。 あらかじめ言っておきますが、これは実話です。マヂです。 ホントにハンケチーフをボクの前にドロップしてきやがりましたのです。 「ひょっとしてオレ、超能力あるんぢゃね?」 と思っちゃうほどの奇跡のタイミングで。   しかも、本人は全くそれに気付いていない!   おお、なんというデスティニー。 ずっと恋人がいないボクに、ついに女神が微笑むのか。 ボクは脳内で広瀬香美の唄を3倍速で口ずさみながらロマンスの神様に感謝しつつ 落ちたハンカチを光速の如きスピードで新宿区の地面から拾い上げ 箱根駅伝で花の2区を走る山梨学院大学の選手に負けないぐらいのパフォーマンスで走り寄り 手にしたその運命のタスキを持ち主に返すべく、後ろからゆっくりと声を掛けた。   「あのー、コレ、落としましたけど」 「……………」   返事がない。ただのしかばねのようだ。 どうやら受信したメールを読むのに夢中で その問い掛けが自分に対するものだということに気付いていないらしい。   ボクは松下さんの正面に回り込み、顔の高さにハンカチを掲げ 再度同じセリフを口にした。   「あのー、コレ、落としましたけど」 「え? あ……私の?」 「はい、さっきあそこで。ケータイを取るときにバッグから落としたみたいで」 「わー、どうもありがとうございます!」 「いえいえ」 「すごーい。深夜の新宿にも親切な人がいるんですね。よかったー」 「ハンカチを拾っただけでボクがいい人だとは限りませんけどね」 「え? 悪い人なんですか?」 「うん。もう最悪」 「でもホントに悪い人なら拾いませんよ、ハンカチなんて」 「じゃあたまたま運が良かっただけかも」 「そっかー。それでも嬉しいです」 「おめでとうございます」 「あはは。ありがとうございます♪」   そう言って無邪気に笑顔を見せる松下さん。 ヤバイ、ヤバイよ…… めちゃめちゃカワイイぢゃねーかこのやろう! ガルルルルー。                                                                        さて、奇跡のイベントによって偶然会話を交わすことになったこの2人。 新宿ゴールデン街を横目に、深夜の遊歩道で美女と対峙する野獣と化した勇者ワタル。 この後、いったいどうなってしまったのか。     次回、ボクの生活スタイルを劇的に変化させる新たな展開が巻き起こる...   (つづく)←まさかの月またぎ


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