2006/4/26

見習い師
 

最近いろいろ思うところがありまして更新する機会を逸しておりました。
どうもすいません。
 
で、先日、考え事をしながら池袋の路地をブラブラ歩いていたら突然
「ちょっとちょっと、お兄さん」
と、謎のおじさんに声を掛けられました。
 
そのおじさんは小さなテーブルの後ろでイスに座り
ボクを見ながら笑顔でカワイク手招きをしています。
テーブルには「手相鑑定/見習い中につき無料」の文字が。
 
「お兄さん、手相を見てあげるよ。お金はいらないから」
 
ミステリアスなオーラを放つそのおじさんは
まるでボクの考えを見透かしているような不思議な人でした。
 
「お兄さん、こっちおいでよ」
「いや、いいです、時間がないので」
「悩みがあるんでしょ? 私にはわかるよ」
「あはは。それ、占い師の常套句じゃないですか。ボクには通用しませんよ」
「ほほう」
「だって悩みのない大人なんていないでしょ?」
「わかった。じゃあ手相は見ないから、話だけ聞いてあげるよ」
「……へ?」
「だってお兄さん少し怖い顔してるんだもん。眉間にシワがよってる」
「……そうですか?」
「だから、ココ座って。お茶もあるし」
「はぁ……」
「ほらほら早く早く、今日はまだ誰とも話してないから暇なんだよ」
 
そう言って横に置いてある水筒からコップにお茶を注ぐおじさん。
気が付いたらなぜかボクもフラフラとその前に座ってました。
なんなんだこのオヤジは…… 気功で人を操っているのか?
 
「お兄さん、歳は?」
「31です。来月で32になりますけど」
「へー、見えないねぇ。もっと若く見えるよ。学生さんかと思った」
「えー? ホントですかぁ?」
 
と、思わず単純に喜ぶワタルさん。
ここは路上キャバクラですか?
 
「で、仕事は何してるの?」
「無職です」
「なんだ、私と一緒か」
「違いますよ。だっておじさんは占い師でしょ?」
「いや、これは仕事のうちに入らないよ。見習い中だし」
「いつからやってるんですか?」
「今日から」
「今日!?」
 
どうやらボクはおじさんの新たな門出の日に偶然出会ってしまったようです。
 
「ところで、おじさんは幾つなんですか?」
「私? 何歳に見えるぅ?」
 
ほら、やっぱりキャバクラだよこれ。
なんで路上でおっさんの年齢を当てなくちゃならないのか。
 
「うーん…… 60歳くらいですか?」
「わはははは、本気で言ってるのかね?」
「はい、本気です。失礼だったら謝りますけど……」
「失礼じゃないよ。79歳だから」
「マヂっすか!?」
「うん。今年で80。だからおじさんじゃなくておじいさん」
 
ビビりました。
すげぇ若いです。
全然そんな歳には見えません。
 
「あのぅ、失礼ですが、なぜその歳になって路上で手相を見ようと思ったんですか?」
「なぜって、家にいても暇だからかな。年金で暮らすだけじゃ面白くないだろう?」
「なるほど。なんとなく解る気がします」
「それに私は手相なんて全く見れないしね。生命線すら判らないし」
「マヂっすか!?」
「うん。どうせ誰も来ないし。お金も欲しくないし。人を見てるだけでも楽しいよ」
「へぇー、面白いですね」
「どう? キミも私と一緒にやってみるかい?」
「ははは、遠慮しときます。それにこの辺はヤクザ屋さんが多いですし」
「そんなの全然怖くないよ。私と一緒なら安心だ」
「……おじさん、ナニモノなんですか?」
「ただのお年寄りだよ」
 
この後、このおじさんおじいさんと30分くらい
お茶を飲みながらいろんな話をしました。
今抱えている悩み、考え、自分の生き方、家族のことなど、いろいろ。

そして、まるで「未来から来た自分」と話をしているような
言葉では表せないくらいとても不思議な感覚を覚えました。
 
ひょっとしてこの人はボクがあの時間にあの路地を通ることを
最初から知っていたのではないだろうか?
ボクに助言をするために待ち伏せしていたのではないだろうか?
というようなことを思ってしまう、そんな感じ。
 
 
おじいさん曰く、
 
「後悔だけはするな。そして自分のやりたいことをやりなさい。
 周りの人から後ろ指を指されても、自分を信じて生きなさい。
 私は後悔ばかりして、気が付いたら歳をとっていた。
 特に30代は後悔の連続だったよ。
 周りに流され、周りの意見で生き方を決めていた。
 あ、でも今はとても楽しいし、満足もしてるよ。 何より健康に生きてる。
 だからキミは、身体にだけは注意して、自分の信念を貫きなさい。
 今からそれができるなんて羨ましいことだよ。
 その中で周りに迷惑をかけたり心配をかけたりするのは仕方のないこと。
 どんな生き方をしても必ずそれは訪れるのだから。
 だいたい、人に全く心配されない人生より
 心配されながら生きる人生の方が刺激があって楽しいと思うだろう?
 それこそが幸せで、素晴らしいことなんだ。
 今日はキミのような若者と話ができて嬉しかったよ。
 私の呼び掛けに足を止めてくれて、本当にありがとう。
 これからはあまり怖い顔をしないで、笑って歩きなさい」
 
 
うろ覚えですがこんな風に言われ、思わず泣きそうになりました。
ってゆーか泣いた。池袋の路地で。30過ぎた男が。
ここ最近すげえ塞ぎ込んでましたけど、少し元気出ました。
どうもありがとうございます。
 
そう言えばマザー・テレサもこう言ってたっけ。
「愛情の反対は憎しみではなく、無関心なのです」
と。
 
 
 
ちなみに明日はウイイレ10の発売日。
今回はお金もないから買わないでスルーしようかなー
なんて思っておりましたが
 
 
「 ワタルは、もちろん、買うよな? 」
 
「 は、はい。食費を削ってでも必ず…… 」
 

と、このようにある人から殺傷能力を持つ政治的圧力があった為
ちゃんと発売日の朝に買いに行こうと心に決めました。
 
 
こわいよー






 



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