AボーイS
六本木で働いていろんな人たちに出会いました。
尊敬できる上司、情けない上司、頼りになる先輩、話にならない先輩、
気の合う同僚、勘違いしてる同僚、おもしろい奴、ムカつく奴、
受付のカワイイおねーさん、総務のキレイなおねーさん、中華料理屋のマブイおねーちゃん
などなど。
今回はその中でも特に印象に残っている人物について書きたいと思います。
その人とは、同じ部署で働いていたSくんです。
年齢は26歳。
俗に言うオタク青年で、根っからのAボーイ(アキバくん)です。
リアル電車男と言っても過言ではないくらい秋葉原LOVEな男の子です。
噂には聞いていましたが、ここまでどっぶりハマってる人は初めてでした。
なので、ネタを探していたボクにとってこのSくんは
会った瞬間に「話をしてみたい人:初登場で第1位を獲得」となりました。
おめでとうございます。
どうもありがとうございます。
つーワケで、もう徹底的にマークです。
ロックオンです。
桜木花道なら フンフンディフェンス です。
あわよくば家まで尾行しちゃいたい(むしろストークさせていただきたい)くらい
実に興味深い青年だったのです。
| Sくんデータ:その1 |
| 六本木までの定期券の他に、秋葉原までの定期券を持っている |
|
これにはビビリました。
毎日のように通っているらしいです。
しかもその定期代は、六本木までの金額より秋葉原までの金額の方が高いらしいです。
ワケがわかりません。
そこでボクは、素朴な疑問を彼に投げかけてみました。
「あのさぁ、それなら秋葉原で働けばいいんぢゃね?」 (←核心を突いた)
すると彼は、呆れたような顔でこう返します。
「ワタルさん、あなたは何もわかっていませんね。
あそこは働く場所じゃない、足を運ぶ場所なんです。
そこが魅力なのですよ。わかります?」
全然わかりません(>_<)
| Sくんデータ:その2 |
| お昼はおむすび。それ以外は絶対に認めない |
|
彼は毎日、お母さんがにぎってくれる「おむすび」を3つ持ってきます。
お昼はそれ以外絶対に食べません。(山下清かよ)
外へランチを食べに行こうと誘っても絶対に来てくれません。
理由は簡単。お金がもったいないから。
稼いだ給料は全て秋葉原で消費する。
それが彼のポリシー(?)なのです。
でもボクは負けません。
Sくんと一緒にランチを食べてみたいので、何度も何度も
「オレがおごるからたまには外へ食べに行こうよー」
と誘います。
しつこいくらいに。
同僚からは「ワタル、何度誘ってもムダだから諦めろ」と言われましたが
入社してから退社するまでずっと誘い続けました。
すると、その結果……
やっぱり一度も来てくれませんでした(>_<)
ランチを誘っても絶対に来てくれないので
ある日ボクは、お弁当を買ってきて
彼と一緒に社内でお昼を食べることにしました。
ようし、今日はいろんな話をしてSくんとフレンドリーになっちゃうもんね。
そう意気込んで彼がおむすびを食べているテーブルへ乗り込みます。
「おつかれー。オレ今日は弁当なんだ。ココ座ってもいい?」
「はい、いいですよ。どうぞ」
「ところでSくん、突然だけど変なこと訊いてもいい?」
「なんですか?」
「彼女とかいるの?」
「いませんよ」
「そっかー。Sくんはどんなコがタイプなの? 例えば芸能人で言えば誰が好み?」
「うーん、現実にはいない」
「……へ? ど、どういう意味?」
「だから、現実の世界にはいないってことです」
「……へ? じゃあ、どこにいるのよ?」
「2次元です」
「!?」
深いです。
アナザーディメンションです。
この後、理想の女性のアニメキャラなどのお話を丁寧に説明していただいたのですが
残念ながらボクには全くかわりませんでした。
勉強不足でどうもすいません。
彼曰く
「人間の女性には欠点が多すぎます。
しかしアニメのキャラにはそれがなく、しかも歳をとらないので
ずっと完璧のままであり続けられるのです。
それって素晴らしいと思いませんか?
ワタルさんもそう思うでしょ?」
思いません(>_<)
彼は仕事で嫌なことがあると面白いくらいにすぐ休みます。
お見事と言いたくなるくらい華麗にサボリます。
「風邪をひいたので休みます」
「お腹が痛いので休みます」
「頭が痛いので休みます」
この3つのフレーズを、まるで挨拶のように使いこなします。
スゴイです。
小学生並の仮病ボキャブラリーです。
ここまでくると呆れるを通り越してカッチョイイです。
完全に社会人を舐めてます。
ちなみに彼はボクが働いていた3ヶ月間で
普通の休日の他に合計30日以上欠勤してました。
もう入院してください(>_<)
そんなこんなで結局Sくんとはたくさん話をする機会がなく
あまり仲良しになることはできなかったのですが
最後に行なわれるボクの送別会で打ち解け合ってメールアドレスでも訊いちゃおうかな
なんて思ってたワケですよ。
だってせっかく知り合ったんだからお友達になっておきたいですもんね。
ボクの知らない知識をたくさん持っておられる人物なので。
ところがどっこいしょ。
送別会の出席名簿を見てみると、Sくんの名前がないのです。
これは一体どういうこと?
ボクは疑問に思い、失礼ながらも直接本人に尋ねてみることにしました。
「ねぇねぇSくん、オレの送別会なんだけど、来られないの?」
「あ、すいませんワタルさん、ちょっと都合が悪くて」
「そっかー。寂しいなぁ。でも他に用事があるなら仕方ないよね」
「いえ、用事は特にないんです」
「……へ? じゃあ何で?」
「余分なお金がないんですよ。今月欲しいDVDが3つあるんで」
「あ、そ、そうなんだ…… それならしょうがないよね……」
「送別会の会費は4000円でしょ? それ払ったら1つ買えなくなるんですよね」
「それは困るよね、うん。わかった。把握した」
結局ボクの送別会はアニメのDVDに負けちゃいました(>_<)
さよならSくん。
キミのことは忘れないよ。
みんなからは陰でいろいろ言われてたみたいだけど、ボクはそんなキャラが好きでした。
もう会えなくなるけどお元気で。(つーか、休まないでちゃんと仕事してくれ、頼むから)

仕事を辞めてから気が付いたんですけど
ボクが勤めてた会社の株価を見てみたら
ボクが入社してから退社するまで右肩上がりなんですよ。

これってワタルさんは救世主ってことですよね?
ホワイトナイト・オブ・ナカイタバシですよね?
IR担当者から見たら、突然現れた伝説の勇者ってカンヂですよね?
クリビツテンギョウイタオドロですよね?
つまり、株価を上げたい上場企業さんは
どんどんワタルさんを雇っちゃえばいいという調査結果が出たワケです。
何卒よろしくお願い申し上げます。(←さりげなく就活)
|