2006/2/16

義理チョコ日和
 

			  
2月13日 午前9時35分。
先月入社した後輩Hくんとの会話。
 
「ワタルさんワタルさん! 明日はいよいよバレンタインデーっすね!」
「落ち着け若者。興奮しすぎだ」
「だってこんなにたくさん社員がいるんだから義理チョコくらいもらえますよね?!」
「うーん、まぁ、そりゃそうだろうけど……」
 
確かにHくんの言うとおりその可能性は非常に高い。
ボクが所属している部署(フロア)だけでも200人以上の人が働いている職場なので
ひょっとして義理チョコだけでも10個以上は期待できるのではないでしょうか。
やべぇ、なんだかこっちまでワクワクしてきました。
 
「ワタルさん! オレ明日は大き目のカバン持ってきます!」
「ぢゃあオレは東京地検特捜部みたいにダンボール持参するぜ」
「あはははは」
「うはははは」
 
と、2人でこんなバカ話をしながらアホみたいに喜んでいたら
Notesの社内メールで衝撃的な警告文が届きました。
 
 
そのメールを凝視する2人。 
 
 
「 ……………… 」
 
「 ……………… 」

 
 

社員各位
 
明日はバレンタインデーですが、当部署では義理チョコを配布するような儀式的な行為は
一切禁止しております。
もしこのような行為が発覚した際は、厳罰に処する場合もありますのでご注意ください。
以上、何卒よろしくお願い申し上げます。

 
                                                 総務部

 
 
 
「 そ、そんな…… 」
 
「 義理チョコすら貰えないのか…… 」
 
 
ついに出た。まさかの義理チョコ禁止令。
 
このような会社は結構あるってことは知っていましたが
まさかウチの会社がそれに該当していたとは知らなんだ。
 
まったく、こういう重要なことは入社時にちゃんと説明してくれなきゃ困ります。
これは立派な労働基準法違反ですよ?
社会保険完備する前に義理チョコ完備しといてください。
 
 
 
つーワケで、2月14日。
バレンタインデー当日。
 
前日に発動された義理チョコ厳戒態勢により、社内はいつもと変わらない雰囲気。
義理チョコの気配値ゼロ。
長年に渡り研ぎ澄まされてきたボクの義理チョコレーダーも全く反応しません。
昨日は元気いっぱい夢いっぱいだったHくんも悲しそうに言葉を発します。
 
「ワタルさん…… ホントに今日は無理みたいですね……」
「だな」
「はぁ……」
「溜め息つくなよお前。どんだけ期待してたんだよ」
「だってバレンタインデーですよ! それなのに…… それなのに……」
「わかったわかった。今日はオレが奢ってやるから、な。だから元気出せ」
「マジっすか! やった! 今日は2人で飲みまくりましょうね!」
 
と、なんだかよくわからないまま後輩と2人で飲みに行くことになって
そのまま仕事を続けていた午後6時20分。
  
つーか、なぜバレンタインデーに後輩と2人で酒を飲まなきゃいけないのだろう。
と、ひとりごちていたその時、1通のメールが届きました。
 
 
「 ん? 誰からだろう? 」
 


 ポチッっとクリック

 
 
 
 
 
 

お疲れさまです。
○○○○部○○○○○グループの◆◆◆◆と申します。
はじめまして。
突然のメールで失礼いたします。
 
急なお願いで申し訳ありませんが、お話したいことがありますので
本日7時30分に、6Fにあるカフェの前まで来ていただけませんでしょうか。
 
もちろん都合が悪いようでしたら結構です。
ご迷惑だとは思いますがよろしくお願いします。


 
 

 
 
 
  
キタ――――――!!
 
 
 

こ、これはまさしくロマンスの予感☆
もちろん上記◆◆◆◆の部分は女性の名前です。
会いに行ったら男だったというオチはありません。
学生時代にあった「放課後に体育館の裏まで来てねウフ」的な香りがプンプンします。
ヤバイです。
どう考えてもスプリング ハズ カムっぽいです。
是非ご指定の場所と時間に伺わせていただきます。
 
 
 
「 ロマンスの神様、どうもありがとう 」
 

 

  
しかし、ひとつ大きな問題が。
  
 
「ワタルさーん、今日はどこへ飲みに行きますぅ?」
 
 
こいつだ。
こいつがいた。
先に約束してしまった後輩Hの存在だ。
こやつをどうにかしなければダメだ…… 
うーん、どうしよう……
 
何て言えばいいんだ?
正直に言ったら泣いちゃいそうだよな、この若者。
うーん……
 
 
「ワタルさん、どうしたんすか?」
「え? あぁ、うん……」
「元気ないっすね。何かあったんすか?」
「いや…… あのさ、えーっと、今日なんだけど、ちょっと行けなくなっちゃった、かも?」
「えーーー?! なんでですか!」
「え? うん、実は、あの……」
「あーっ! わかった! ひょっとしてワタルさん…… まさか……」
「な、なんだよ……(ゴクリ)」
「お金がないんですね! そうでしょ? あははは!」
「へ? ……あ、うん、そう。そうなんだよ! 2000円しか持ってなくて」
「いいですよー 今日はオレが奢りますから!」
「あ、いやいや、それじゃ悪いから、明日にしようぜ、明日!」
「えーーー 明日っすかー。うーん……」
「明日はお前の好きな店で何でも奢ってやるから、な!」
「うーん、じゃあ、そうしましょうか」
「よし決まり!」
「はーい、じゃあ明日までにお店探しときますね」
「おう」
「それじゃワタルさん、今日はお先に失礼しまーす」
「おつかれー」
 
ふぅ……
 
か、勝った!
見事に障害物を撃退!
つーか、Hくんがバカな鈍感な男の子でホント助かりました。(敬礼)
 
 
ってことで
いよいよ待ち合わせの時間に馳せ参じることになったワタルさんですが
なんだか落ち着かないので事前に情報収集をすることに。
 
長年働いている上司のJさんを捕まえて
ストレートに質問をぶつけてみました。
 
「Jさん、あのー、ちょっと訊きたいことがあるんですけど」
「おう、なんだ?」
「同じ部署の◆◆◆◆さんて人知ってます?」
「◆◆◆◆さん? ああ、○○○○○グループの?」
「そうですそうです! 知ってるんですか?」
「知ってるよー。一緒に飲んだことあるもん」
「マヂっすか!? で、どんな人っすか?」
「なんだよお前、なんでそんなこと訊くんだ?」
「え? それは、えーっと…… Jさん、誰にも言わないでくださいよ」
「おう、わかった。 それで?」
「実は…… Hくんが◆◆◆◆さんに惚れちゃったという噂が」
「ホントかよ! 若いよなー、あいつ」
「ですよねー。 あ、絶対誰にも言わないでくださいよ」
「ああ、わかってるって」
「で、どんなコなんですか?」
「ぶっちゃけカワイイよ。めちゃめちゃ」
「マヂっすか!?」
「うん、安田美沙子に似てる感じ」
「キタ――――亜qすぇdrftgyふじこlp@:!!」(+ガッツポーズ)
「つーか、何でお前が喜ぶんだ?」
「……え? あ、だって、かわいい後輩のことですから」
「そっか。いい奴だなお前」
「はい。よく言われます」
 
 
つーワケで、安田美沙子に似た美人OLという情報をゲットし
意気揚々と6Fのカフェを目指す勇者ワタル(レベル31)。
 
 
どきどき。
 

するとそこには、はにかんだ笑顔でひとり佇んでいる美女の姿が。
ボクに気付いて軽く頭を下げます。 
  
「こんばんは、ワタルさん。わざわざ来ていただいてすみません……」
「あのー、◆◆さんですか?」
「あ、はい、そうです。はじめまして」
「あ、どーも。こちらこそはじめまして」
「えへへ…… なんだか緊張しちゃうな……」
 
おいおい、めちゃめちゃカワイイぢゃねーかコノヤロウ!
ガオーーー! 
ガルルルーーー!
 
 
ってことで、恥かしくなってきたのでこの話はここまで。
この後どうなったのかは内緒です。
 
でもこのままではみんなから怒られそうなので結論だけ言っておきます。
 
えー、突然ですが、彼女ができました。
わーい。
 
 
以上、信じられないと思いますが、本当に作り話です。
どうもありがとうございました。






 2006/2/22

保険証を手に入れた
 

 
みなさんこんちくわ。
コラム界の猫ひろし、ワタルです。
 
ついに、ついに…… 保険証というレアカードを手に入れました!
3年ぶりです!
やたー!
 
∩( ・ω・)∩ ばんぢゃーい
 
らっせーらーらっせーらー!
昇竜拳!
ポーツマス!ポーツマス!(言葉の意味はよく分からんが、とにかく凄い自信だ)
 
 
つーワケで、さっそくその保険証を使おうぜ、ってことになったので
どうやって使おうか友達に相談してみました。
 
「ぢゃーん! 見てくれ! これが噂の保険証だ!」
「おおー、ついにワタルも国民らしくなってきたな。おめでとう」
「こんな小さなカードになってるんだよ。知ってた?」
「知ってるよ。つーか知らないのはお前だけだろ」
「オレが持ってた3年前は、大きくて変な色の紙だったのに……」
「いつの時代だよ」
「で、さっそくこいつを使おうと思うんだけど、オススメの医者とかない?」
「何だよオススメって。ラーメン屋じゃないんだから」
「どこでもいいんだけど」
「つーか、どこか悪いところとかないの?」
「オレ? ないよ。すこぶる健康だもん」
「それならわざわざ行かなくてもいいだろ……」
「いやいや、是非3割負担でOKという優越感を実感してみたいのよね」
「変な奴だなぁ。じゃあ歯医者にでも行けば? 虫歯の1本くらいあるだろ?」
「歯医者かー、いいねそれ! もう20年くらい行ってないし」
「20年!?」
「うん。確か小学6年の頃に行ったのが最後だもん」
「じゃあ歯医者で決まりだな。たぶんワタルは虫歯だらけだと思うぞ」
「マヂで?? おっそろしいなぁ……」
「全部治療するのに2ヶ月くらいかかるかもよ」
「マヂで?? 確かに歯医者は無駄に治療を長引かせるからなぁ……」
「どれくらいかかるか楽しみだな」
「だな」
 
 
ってことで、なんだかよくわかりませんが歯医者さんへ行くことに決まりました。
さっそく近所の歯科医院をネットで検索。
ポチっとな。
 
ナカイタの歯科医院は全部で15件。
って、こんなにたくさんあるの? 多くね?
どこ行けばいいのよ?
うーん…… とりあえず一番近いところにしようかな……
 
えーっと、あったあった。
ウチのマンションから徒歩2分の歯医者さん。
ここにしよっと。
見た目はボロボロで今にも潰れそうだけど。
 
まずは電話で予約しておこう。
 
(Tururururu.....)
 
「はい、○○歯科医院でございます」
「あのー、本日予約をしたいんですが空いてますか?」
「今日はダメですねー。いっぱいです」
「そうですか。明日はどうですか?」
「すいません、明日はお休みなんですよー」
「あ、そうですか。では明後日は?」
「ダメですね、その日もいっぱいです」
「じゃあその次の日は……?」
「ごめんなさい、その日は先生が近所の小学校で歯科検診なんですよー」
 
知らねーよそんなの。
受付拒否ですか?
ひょっとしてオレ嫌われてるの?
でも負けるもんか。
 
「あ、そうですか…… うーん…… ではいつなら大丈夫ですかね?」
「えーっと、1週間後なら大丈夫ですよ」
「1週間後っすか!?」
「あのー、虫歯ですか? 今はお痛みですか? 我慢できないくらい?」
「いえいえ、全然痛くないから別にいいんですけど」
「あ、そうですか。それはよかった」
 
よくねーよ。
何でそんなに強気なの?
もう他の歯医者さんに行っちゃおうかなー。
うーん……
でも、ここまできたらこっちにも意地があります。(?)
 
「それでは○○日の午前中でお願いできますでしょうか。ワタルと申します」
「はい、かしこまりました。ワタル様ですね。では○○日の10時にお待ちしております」
「よろしくお願いしまーす」
「お大事にどうぞー」
 
 
つーワケで
見かけによらず1週間後まで予約でいっぱいの人気歯科医院さんへ予約完了。
 
 
そして1週間後。
 
 
予約した時間の5分前に現地到着。
ボク以外に患者さんは1人もいません。
外観、内観、どこを見ても大繁盛している歯医者さんには見えません。
うーん…… どこに人気の秘密が?
 
あっ!
ひょっとしてカリスマ美人セクシー歯科医でもいるのか!?
診察室へ入るなりあんなことやこんなことをして……
さらに大胆にも予想を超越した行為を迫ってきて、いんぐりもんぐり……
やべー! なんだか緊張してきた! 
 
どきどき。。。
 
  
「ワタルさーん、どうぞー」
 
 
名前を呼ばれて魅惑の診察室の中へ入る勇者ワタル(欲求不満レベル31)。
そこには、なんと!
 
ミニスカートをはいてエロめがねをかけたセクシー美人歯科医
ぢゃなくて、どこにでもいるような普通のおっさんが立っていました。
ちぇっ。
これが現実。
 
 
「はい、今日はどうされました? 虫歯ですか?」
「いえ、違います。検査をしていただきたいと思いまして」
「あ、そうですか」
「歯医者さんは20年ぶりくらいなもので。虫歯があるかなーっと思いまして」
「なるほど。それでは見てみますねー」
「お願いします。あーん」
 
 
20秒後。
 
  
「はい、大丈夫ですね。特に虫歯はありませんね」
「……え? ホントですか?!」
「ええ、問題ないですよ」
「20年ぶりなのに?」
「はい。まぁ1箇所だけひょっとしたら虫歯になりそうな箇所がありますけど」
「じゃあ、とりあえずそこを治療しておいていただけます?」
「そうですね。せっかくなので治療しときましょうか」
「お願いしまーす。あーん」
 
 
キュイーン。
  
 
「どうもありがとうございました」
「お大事にー」
 
 
と、このように、長期間かかるであろうと予想された診療期間も
わずか1日で終了してしまうという驚きの結果になりました。
やたー。
 
ってか、早すぎぢゃね?
つまんなくね?
これならもう保険証は必要なくね?
やっぱりオレには不必要なアイテムなんぢゃね?
 
 
つーワケで、今月末で会社を辞めることにしました。(←気まぐれな急展開)
来月から久しぶりにスナフキン生活に戻ります。
 
さよなら森ビル。
さよなら六本木ヒルズ。
 
右向いて左向いてバイちゃバーイちゃ。



 



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