2003/8/7
社会保険庁がやって来た
 
 
あなたはこれを読み終える頃、感動で涙が止まらない。  
ニューヨーク・タイムズ
 
このセンテンスは人生というゲームの中において
最も重要なものを勝ち取る助けとなるだろう。
ワシントン・ポスト

筆者は時事・風説に風穴を開け、
そこへ希望という名のスルーパスを通した。
ガゼッタ・デロ・スポルト
 
 
 
 
 
 
 
 
梅雨も明け、蒸し暑い東京の午後3時過ぎ。
滅多に鳴らないハズの部屋の電話が鳴り響いた。
それはまるで何か嫌な事を暗示させるかの如く乾いたベルの音だった。
キン肉マンで例えるならテリーマンの靴ヒモが切れたときのように
何か不吉なイベントが起ってしまうかもしれない、そんな思いがした。
  
ソファーで横になりながら映画を観ていたオレは、
DVDの一時停止ボタンを押して起き上がり、
そしてその運命の受話器を手に取った。
  
 
 
 
 
 
             
             
             
             
             
 
 
 
 
 
 

「もしもし?」
「ワタルさんですね?
 社会保険庁の松嶋と申します」
「……社会保険庁?」
「ええそうです。
 
 あなた、国民年金を支払ってませんよね?
 滞納分も含めて支払っていただけませんか?」

「……え?
 
 いや、そんな、突然言われてもムリっつーか……
 お金がないので払えないっつーか……
 
 ……ちなみにおいくらですか? 」

「軽く見積もって、ざっと140万」
「140万!?
 
 しかも軽く見積もっちゃってるし! 」
「今からお宅まで取りに伺いますので
 ご自宅に居てください。
 もちろんお金も用意して 」
「……い、今から!?  
 
 ムリですよ!
 そんな金あるワケないぢゃないですか! 」
「フフフ。あなたは持ってるハズよ。
 それも部屋の中に隠してあるわ。
 私たちには全てわかってるの 」
「……!
 な、なに言ってるんですか?
 何の証拠があってそんなことを……!? 」
「ウフフ。
 まだわかっていないようね、私たちの組織を。

 じゃあその証拠も一緒にお持ちするわ 」
「ハハハハ。そんなハズはない。
 
 それでは見せてもらおうか!
 社会保険庁が持っている証拠とやらを!」
「では約1時間後に伺いますので」(ガチャ)
「……え? ホントに来るの?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
           

             
       
                          …… あっ!!                

                           

  そこにはまるで『プリンセスもののけ』のような女性が、 あり得ないポーズを披露しながら立っていた。 その非知的生命体とも思える生物はおそらく自分で 「ワタスってめんこい」 と思っているに違いない。自信溢れるアピールプレーだ。 この瞬間、電話の声と名前だけで勝手に松嶋菜々子似だと想像していた自分を心から悔んだ。   そしてオレは思った。   「ホントにオレは払う金なんて持ってないんだ。  こいつにそれを理解してもらえるのだろうか…?  それ以前に日本語が通じ……いや、むしろ日本国憲法が通用するのだろうか…?」   不安な心境を抑えながら、渾身の勇気を振り絞って話し掛けてみた。            
「あのー、すいません……
 ボク、ホントにお金持ってないんですけど……」
「 ウソだわ。
 クローゼットの中に小さな箱があるでしょ?
 そこに入ってるお金出しなさいよ。
 
 隠してもムダよ。
 私たちには全部、すべて、まるっと、どこまでもお見通しなんだから 」
「……いったい何のことですか?
 
 大体、何でそんな事がわかるんですか!?
 証拠でもあるんですか!?
 あるなら見せてくださいよ! 」

「フフフフ……証拠ね、わかったわ。
 
 えーっと、
 
 ……あれ?
 
 あっ…… 霞ヶ関の庁舎に忘れてきちゃった……テヘ☆」

「テヘ☆ ぢゃねーよ!
 証拠もねーのにテキトーなこと言ってんぢゃねーよ!」
「なんですって!?
 そっちこそ国民の義務をちゃんと果たしなさいよ!
 このバカチンが!」
「なにぃ!?  もう頭にきた! ぶん殴ってやる!
 
 アンパーンチ! 」


バ シ ッ!!

「フッ…… 決まったぜ」
「なにそれ?
 全然効かないんだけど 」
「 ……バカな! 直撃のハズだ!」
「ウフフフ。 言っとくけど私を怒らせると危険よ。
 どれくらい危険かと言うと、そうねぇ、例えるなら、
 
 体育の時間にマットの耳を下に隠さないで
 開脚前転するくらいリスキー。
  
 あっ、足首ひねっちゃった! みたいな☆ 」

「何を言ってるんだこいつは……
 
 ええいっ、社会保険庁の松嶋はバケモノかっ!?」

「それよりあなた、どうして国民年金を支払わないの?
 お金がないだけの理由じゃないんでしょ?
 
 私にはわかってるんだから…… 」
「……えっ?
 
 
 (ひょっとしてこの人ならわかってくれるかも……) 」
「さぁ、本当の理由を話してみなさい。
 私に全て吐いちまいなさいよ、楽になるから」
「 じ、実はそうなんですよ……
 他にも理由があるんですよ!
 しかも、将来年金が貰えないかもしれないからとかゆぅ
 そんな安易な理由なんかぢゃないんですよ!
 
 ……こんなオレにもいろいろあるんですよ。
 渚にまつわるエトセトラとか、いろいろ……」
「やっぱりそうだったのね……  思った通りだわ。
 
 わかった、今回は見逃してあげる。
 ってゆーか、むしろ私が払ってあげる」
「マヂで!?」
「それにさっきのあなたのパンチ、ホントは結構効いたのよ。
 世界を狙える右ストレートだったわ…… ぐすん……」
「オラ、絶対に世界チャンピオンになるだ!」
「うん! わたし待ってる!
 
 わたし踊る! 
 
 わたし配る!」
♪れつぎょ!
 
 
 
 
 
こうして2人の壮絶なる戦いは幕を閉じた。
もはやこの2人には敵も味方もない。
まさにノーサイド及びご利用は計画的に。
 
そして主人公の自分を犠牲にした新たなる旅が、また始まる ―――――
 
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、地名、その他名称は全て架空のものであり、
実在するものとは一切関係があるかどうかなんて知ったこっちゃありません。
 
			   
			   
とゆぅワケで、国民年金取り立てシミュレート完了。
これでいつ社会保険庁がやって来ても安心。
来たるべき戦いに備えて心の準備は万端です
 
みなさんも是非参考にしてみてはいかがでしょうか?
 
 
 
         

 



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